職務経歴書とは?
職務経歴書の主な役割
Point:職務経歴書と履歴書は、求職者としてのあなたを紹介する書類としての役割は共有していますが、その内容、構成、目的において明確な違いが存在します。
Reason:採用担当者は、履歴書を通じて求職者の基本情報や大まかな背景を把握し、その上で職務経歴書を詳細に確認して、求職者の具体的な業務経験や専門性、成果を理解します。これにより、応募者が開かれているポジションに適しているかを判断します。
Example:履歴書は、あなたの「目次」や「索引」のようなものと考えることができます。基本情報、学歴、職歴といった概要が記載されており、あなたがどのような背景を持っているのかを簡潔に示します。一方、職務経歴書は「本文」や「詳細な章」のようなものです。ここには、以前の職場での具体的な業務内容、その際の役職や職務、どのような技術やスキルを使用したのか、どのような成果を上げたのかといった詳細が記述されます。
Point:職務経歴書は、応募する企業や業界においてあなたがどれだけ価値を持ち、どのような貢献ができるのかを具体的に示すためのものです。この書類によって、採用担当者はあなたの専門性や経験を深く理解し、その上で面接や次の選考ステップへの招待を決定します。
この説明を参考に、職務経歴書と履歴書の違いやそれぞれの重要性を理解し、効果的な職務経歴書の作成を目指しましょう。
職務経歴書の主な役割
Point:職務経歴書は、あなたのキャリアの歴史や成果、スキルを体系的に伝えるための書類としての役割を果たしています。
Reason:企業は新しいメンバーを採用する際、その人が今までのキャリアで積み上げてきた経験や実績を詳細に知りたいと考えます。これは、新しいポジションでの業務遂行能力や、その人が持ち込むであろう付加価値を評価するためです。職務経歴書によって、応募者は自身のキャリアのハイライトや特長を強調し、企業に自分の価値を効果的に伝えることができます。
Example:考えてみてください。あなたが映画の監督で、新しい俳優を探しているとします。履歴書はその俳優のプロフィール写真や基本的な情報を提供するもの。一方、職務経歴書は彼の過去の映画のショールームや、どのような役を演じたのか、どの監督とどのような作品に参加したのかという、その俳優の「キャリアの映画」を伝えるものと言えます。たとえば、ITエンジニアが新しいプロジェクトに応募する場合、職務経歴書にはこれまでのプロジェクトの詳細、使用した技術スタック、達成した成果などを具体的に記載することで、自分がどのようにその新しいプロジェクトに貢献できるかを伝えることができます。
Point:職務経歴書は、自分のプロフェッショナルなキャリアの物語を構築し、伝えるための最も重要なツールの一つです。適切に使用されると、あなたのキャリアの価値や方向性を強調し、採用担当者に印象的なイメージを残すことができます。
職務経歴書の基本的な書き方
職務経歴書を書く前の準備
Point:職務経歴書の作成前には、前準備としての情報整理が非常に重要です。これは、職務経歴書が単なる経歴の列挙ではなく、自分のキャリアのハイライトやストーリーを効果的に伝えるためのものだからです。
Reason:職務経歴書は、採用担当者に自分のプロフェッショナルな成果やスキルを伝える主要なツールとなります。そのため、どの部分を強調し、どのようなストーリーで伝えるかが重要です。しっかりと事前に準備をしておくことで、書く過程がスムーズになり、また、最終的な内容もより伝わりやすくなります。
Example:考えてみましょう。一人のマーケティングマネージャーが大手広告代理店に応募する場合を想像してください。このマネージャーは、過去に様々な広告キャンペーンを手掛けてきましたが、特にSNSを活用したキャンペーンで大きな成功を収めた経験があります。このような場合、事前に自分の経歴を整理して、SNS関連のキャンペーンの成功例やその際の役割、成果を強調することで、応募先の代理店に「SNSマーケティングのエキスパート」としての自分の価値を効果的に伝えることができます。
Point:準備というステップは、職務経歴書作成の成功を左右する鍵となります。自分の経験やスキルを深堀りし、その中で特に強調すべきポイントやアピールポイントを明確にすることで、職務経歴書が持つインパクトを最大化することができます。
職務経歴書の形式
編年体形式
Point: 編年体形式は、最も一般的に使用される職務経歴書の形式です。
Reason: この形式は、新しい経歴から古い経歴の順に記載するため、最新の経験やスキルが一番上に来ることで、採用担当者が最新の情報をすぐにキャッチすることができます。
Example: 例えば、5年前にはマーケティングの仕事をしていたが、最近3年はプロジェクトマネージャーとして活動している場合、プロジェクトマネージャーとしての経験を先に記載することで、その最新の経験やスキルを強調することができます。
Point: 編年体形式は、最新の経験を強調することができるため、現在のキャリアの方向性を明確に示すことができます。
逆編年体形式
Point: 逆編年体形式は、古い経歴から新しい経歴の順に記載する形式です。
Reason: 特定の職種や業界に長く従事してきた場合、初めの経験がその後のキャリアの土台となっていることが多いです。この形式を使用することで、自身のキャリアの成長過程や進化を採用担当者に示すことができます。
Example: 例えば、20年前にエントリーレベルのエンジニアとしてキャリアをスタートし、徐々に上級のポジションに昇進してきた場合、その成長の過程や各段階での学び、経験を伝えることができます。
Point: 逆編年体形式は、自身のキャリアの成長や深化を伝えることができる形式です。
キャリア形式
Point: キャリア形式は、特定のスキルや経験をテーマごとにまとめて記載する形式です。
Reason: この形式は、多岐にわたる経験やスキルを持っている場合や、特定のスキルを強調したい場合に適しています。テーマごとに経験をまとめることで、そのスキルや経験の深さや幅を採用担当者に伝えることができます。
Example: 例えば、営業の経験と並行して、プロジェクトマネージメントの経験も豊富に持っている場合、それぞれのテーマに沿って具体的な経験や実績を記載することで、多面的な経験をアピールすることができます。
Point: キャリア形式は、多岐にわたる経験や特定のスキルを強調したい場合に適した形式です。
職務経歴書の書き方のポイント
採用担当者がチェックしているポイント
Point:職務経歴書をチェックする際、採用担当者が最も注目するのは、その書類があなたのキャリアやスキル、実績をどれだけ明瞭かつ魅力的に伝えているかという点です。
Reason:企業は新しいメンバーを採用するとき、その人が持っている経験やスキルがどれだけそのポジションや企業のビジョンに適合しているかを評価したいと考えます。職務経歴書は、そうした評価を行うための主要な情報源となります。そのため、自分のキャリアの中でのハイライトや成功体験、取得したスキルなどを具体的に、そして分かりやすく伝えることが求められます。
Example:イメージしてみてください。スポーツの選手としてのあなたのキャリアを採用担当者に伝えるとします。ただ「サッカーを10年経験しています」と書くのではなく、「この10年で、チームキャプテンを務め、リーグでの最多得点者に2回選ばれました」と具体的な実績を伝えることで、そのスキルや経験の深さ、そしてリーダーシップ能力を明確に示すことができます。
Point:採用担当者にとって、職務経歴書上の情報が単なるタスクの一覧ではなく、あなたがこれまでのキャリアでどのような価値を生み出してきたのか、どのようなスキルや経験を活かして業務に取り組んできたのかを明確に感じ取れることが非常に重要です。
転職回数や勤務期間
Point:転職回数や勤務期間は、採用担当者があなたのキャリアの安定性、一貫性、そして仕事に対する継続性やコミットメントを評価する際の重要な指標となります。これらの情報は、あなたがどれだけ仕事に対して真剣で、組織に対してどれだけ献身的であるかを示す要素として、多くの採用担当者が特に注目するポイントです。
Reason:頻繁に転職をしていると、採用担当者は、あなたが新しい環境や困難な状況に対してすぐに逃げる傾向があるのではないか、または一貫したコミットメントを持って取り組むことができないのではないかと疑念を持つことがあります。企業側からすると、新たな従業員への研修や教育には時間とコストがかかります。そのため、短期間で離職する可能性のある人材に投資することはリスクと捉えられるのです。しかしながら、転職の回数だけがその人の価値や能力を示すものではありません。
Example:例えば、ある人が5年間で3回転職している場合、一見、その人は安定性がないように思えるかもしれません。しかし、その背後には、業界の急激な変化、会社の経営状況の悪化、またはキャリアアップのための戦略的な選択など、さまざまな正当な理由が存在する可能性があります。そのような状況を具体的に説明し、それによって得た新しいスキルや経験をアピールすることで、転職が自己成長やキャリア形成の一環であったことを採用担当者に理解してもらうことができます。
Point:重要なのは、ただの業務内容や役職名の列挙ではなく、各転職活動を通じて得た経験や学び、そしてそれがどのように現在の自分を形成しているのかを具体的に示すことです。転職の都度、新しい環境での挑戦や学びを積極的に求め、それを自己成長の糧としてきたことを伝えることで、あなたのキャリアの選択が計画的で意味のあるものであったことを明確に示すことができます。
スキルセットや専門知識
Point: 経験や実績だけでなく、具体的なスキルや専門知識もあなたの価値を示す重要な要素となります。
Reason: 企業は、その職種や役割に最も適したスキルや知識を持つ人物を求めています。それを示すことで、自分がその職種や役割に適していることを強くアピールできます。
Example: ITエンジニアであれば、プログラミング言語やツールの使用経験、開発フレームワークの知識など、具体的な技術情報を詳細に記載することが求められます。また、プロジェクトマネージャーなら、どのようなプロジェクトをどの規模で管理し、どのような成果を出したのかを詳細に書くことで、その経験とスキルをアピールできます。
Point: ただ技術やスキルを列挙するのではなく、それをどのような状況や業務で使用し、どのような結果を出したのかを具体的に示すことで、そのスキルの実力や経験の深さを伝えることができます。
職務経歴書の書き方の例文
具体的な実績や業務内容を示すフレーズの提供
Point: 職務経歴書では、あなたの経験や実績を具体的に示すフレーズを使用することが重要です。
Reason: 具体的な数字や事例を使用することで、あなたの実績や貢献度がはっきりと伝わり、採用担当者に強く印象付けることができます。
Example: 例えば「営業として活動し、多くの顧客との取引を行った」ではなく、「営業として1年間で新規顧客50社を獲得し、売上を前年比120%に伸ばした」と書くことで、具体的な実績が伝わります。
Point: また、使用した技術や方法、困難や課題とそれをどのように乗り越えたのかといったプロセスも合わせて記載することで、あなたの業務への取り組みや解決能力を強調することができます。
職種別の職務経歴書テンプレート
IT・Webエンジニア
Point:IT・Webエンジニアの職務経歴書では、技術的な深みやプロジェクトへの関与度、そしてチームでの役割などを中心に詳細に記述することが不可欠です。
Reason:この分野は日進月歩であり、最新の技術やツールが求められることが多いため、自らがどのような技術を使いこなせるのか、また、その技術を用いてどのような成果を上げてきたのかを示すことが非常に重要です。
Example:「JavaとSpring Bootを使用して、10人チームでの大規模なシステム開発に携わり、プロジェクトの初期段階から最終リリースまでの全工程を監督。その結果、プロジェクトは予定より3ヶ月早く完了し、システムのパフォーマンスも予想以上に良好であった」といった具体的な実績を記載することで、技術力だけでなく、プロジェクトマネジメント能力もアピールできます。
Point:技術的なスキルだけでなく、新しい技術の導入やチーム内でのコミュニケーション、そして問題解決能力なども強調して記述することで、自身の多面性や柔軟性を示すことが可能となります。
ものづくり・メーカー
Point:ものづくりやメーカー業界の職務経歴書では、製品のライフサイクルの中での自らの役割や貢献、さらには革新的な取り組みや技術的な挑戦などを詳細に記載することが求められます。
Reason:この業界では、製品の品質や革新性が競争力の源泉となるため、それを支える技術や経験、そして具体的な成果を明確に伝えることが非常に重要です。
Example:「新しい材料を用いた製品開発チームに参加し、従来の製品よりも20%軽量化しながら耐久性を2倍向上させることに成功。この新製品は市場で高い評価を受け、初年度の販売目標を150%達成した」という実績を示すことで、技術的な挑戦とその成果を明確に伝えることができます。
Point:製品開発の背景や過程、さらには困難な課題をどのように克服してきたのかなど、ストーリーを持った形での記述を心がけることで、自らの深い専門知識や経験を伝えることができます。
金融業界
Point:金融業界の職務経歴書では、業界特有の専門知識や取引実績、さらには顧客との関係構築やリスク管理の経験などを具体的に示すことが求められます。
Reason:金融は信頼が非常に重要な業界であり、その信頼を築くための実績や経験、そして専門的な知識がどれだけあるのかが、他の多くの業界よりも重視されます。
Example:「大手企業5社との取引を構築し、その結果、年間取引額を2億円増加させた。この取引を成立させる過程で、新しい金融商品を開発し、それが大きな利益をもたらす要因となった」という具体的な実績を示すことで、自らの交渉力や戦略的思考をアピールすることができます。
Point:金融業界では、数字だけでなく、その背後にある分析や戦略、さらには長期的なビジョンなどを詳細に説明することで、自身の深い専門知識やビジョンを伝えることができるでしょう。
職務経歴書に関するQ&A
自分にはアピールできる経験や実績がない場合の書き方
Point:あなたがこれまでのキャリアで大きな実績を持っていないと感じるかもしれませんが、日常の業務の中にも採用担当者が知りたいと思う価値ある経験は数多く存在します。
Reason:採用担当者は、単なる数字の実績だけでなく、あなたがどのような役割を果たし、どのような課題に対処し、どのようなスキルを駆使したかを知りたがっています。
Example:たとえば、あなたが事務職であったとして、特定の業務プロセスを改善した経験や、部署間のコミュニケーションを円滑にするための取り組み、繁忙期における業務の効率化など、日常の中での小さな工夫や成果もしっかりと記述することで、あなたの価値を伝えることができます。
未経験やブランクがある場合の書き方のアドバイス
Point:未経験やブランクがある場合、その期間をどのように過ごし、どんなことを学び取ったのかを前向きに伝えることで、その経験を強みとして活用できます。
Reason:人生には様々なターニングポイントがあり、それぞれの人が異なる経験をしています。未経験やブランクもその一つであり、その期間にどのようなことを学んだのか、どのようなスキルを習得したのかが大切です。
Example:たとえば、子育てのブランクがある場合、その期間中に地域の子育て支援活動に参加してコミュニケーション能力や計画性を養ったとすれば、それは新しい職場での協調性やプロジェクト管理能力として評価されるかもしれません。
部署異動や実家の自営業を手伝った経験の記載方法
Point:部署異動や家族のビジネスを手伝った経験は、多岐にわたる業務知識や異なる視点を持っていることを示す大きなアセットとなります。
Reason:様々な部署や業種での経験は、異なる業務や職種の人々との連携能力、柔軟性、多様な課題への対応能力を身につける機会となります。
Example:営業から人事への部署異動を経験した場合、「営業時代に培った顧客とのコミュニケーションスキルを、採用活動や社員教育に活かしてきた」というように、どのように過去の経験を現在の業務に活かしているかを具体的にアピールすることができます。